こんにちは。田倉です
先日、カシミヤ×シルクモヘヤでニッティングバードさんの『瞑想マフラー』を編みました。
そのままでも柔らかく暖かいマフラーですが、今回はさらなる完成度を求めて水通しを施してみました。
専門的な道具はないため、全て自宅にあるもので代用しています。
『編み物は楽しく手軽に』がモットーなので水通し=面倒くさいのイメージを回避するべく、家庭で手軽に行える方法を調べて挑戦してみました。
ニッティングバード×ITORICOTの糸で瞑想マフラーを編みました
水通しでカシミヤの滑らかな手触りと
シルクモヘヤのふわふわを引き出したい
工業糸の水通し【家庭でできるお手軽ソーピング】
水通し・湯通しとは
水通し・湯通しは編み物用語で「洗い」の工程をさします。
このプロセスは、工業ではソーピングや縮絨(しゅくじゅう)などと呼ばれています。
工業糸は機械が編みやすいように油分でコーティングされており、そのままでは糸が本来持つ風合いが損なわれています。
また、手編みをしていると気付かぬうちに皮脂や汚れが糸についてしまいます。
編地を水通しすることで、こうした油や汚れを落とすことができ、糸の魅力を最大限に引き出すことができるのです。
準備したもの
- 中性洗剤(エマール) 柔軟剤入りのおしゃれ着洗剤
- バケツ タライや洗面台でも可
- 加湿器 スチームアイロンの代用
- お湯 30℃~35℃
- 洗濯機 脱水機能のみ
- 室内用物干し 平干しスペースを使用
水通しのやり方
スチームアイロンがないため力技で加湿器の蒸気を当てました。
ものすごく異様な光景ですが、ここでたっぷりと編地に水蒸気を含ませます。
蒸気を繊維に当てることで編み目がふっくらと整い、水につけた時に起こる目面の潰れやダメージを防ぎます。
準備運動のような役割です。
35℃くらいのぬるま湯をバケツにためて30分つけおきします。
ここでは、まだ洗剤をいれません。
お湯のみで軽い油分や汚れを浮かせることにより、この後の洗剤が浸透しやすくなります。
新しいお湯にかえて、中性洗剤を適量入れます。
ここで完全に油と汚れを落とします。
編地を回転させるように、ゆっくりと回し洗いをします(モヘヤの毛足を出すため)
次に、編地を潰さない程度の力でもみ洗いをします(カシミヤの風味を出すため)
ニットは押し洗いが一般的ですが、今回は使用した糸の風合いを出すために回し洗い(モヘヤ)ともみ洗い(カシミヤ)をしました。
全工程に共通しますが、水分を吸った編地はとても繊細なので優しく取り扱います。
お湯が透明になるまで何度もすすぎをします。
柔軟剤を使用する場合は、ここで投入してください。
今回使用したエマールは柔軟剤入りなので、すすぎ作業だけしました。
別で柔軟剤を入れた方は、その後すすぎを行うと効果がなくなるので注意してください。
洗濯機の脱水機能を使いました。
編地の保護のためネットに入れて30秒。
手袋や帽子など小物の場合はタオルで水気をとる方法がお手軽でおすすめです。
平干しで自然乾燥させます。
毛糸は水分を吸っている時の形状を記憶する性質があるため、しっかり伸ばして干しましょう。
ブロッキングやピン打ちなど編地を整える作業はこの工程で行います。
今回は2m30㎝の大物マフラーだったので平干しする場所探しに苦戦しました。
結局は室内用物干しで半渇き状態になるまで重ねて平干し。
編地が軽くなるまで乾いたら、吊り下げて乾燥させました。
水通しした結果
水通しは絶対にしたほうがいいと実感しました。
正直言うと水通し前もすでに柔らかい触り心地だったので「水通しは必要ないのでは……?」と思ったりもしました。
ですが、その考えは大間違いでした。
変わります。ものすごく変わりました。
『柔らかい』が『ものすごく柔らかい』になりますし、『ふわふわ』が『ふわっっふわ』になりました。
そして、ガタガタだった編み目がぴっちりと揃っています。
編み物歴云十年の猛者が編んだかのように綺麗です。少し言いすぎました、ごめんなさい。
専門的な道具は一切なく、面倒くさい行程は飛ばすというやりたい放題な自己流の水通しでもこれほどの変わりよう。
水通し(ソーピング)の専門工場があるのも納得です。
間違いなくマフラーがワンランクアップして、水通しに挑戦してよかったと思いました。
マフラーは暖かいだけで偉いのに
触り心地まで抜群なのはワンダフル
まとめ
以上、自己流で簡単水通しをしてみました。
水通しには正解がないと言われています。
それだけ水の温度、洗い方、工程によって糸の仕上がりが変化するのです。
個人の好みの数だけ正解があるとも言えますね。
今、私がベストだと思っているふわふわな手触りにも、まだまだ上があるかもと思えば水通しへの夢が膨らみます。
編みあがった作品の見た目や強度も上げてくれる水通し。
ズボラで面倒くさがりの私でも、工程を選んで、ある道具だけで楽しく行うことができました。
皆さまもぜひご家庭で試してみてはいかがでしょうか。
水通しの魅力に触れながら、自分なりの方法で楽しんでみてください。